Since 2007/03/08
米倉斉加年さん率いる劇団「海流座」公演を観ました。
2作とも40分程度の作品で、北翔大学の学生さんたちも共演していました。
木下順二作「二十二夜待ち」は、「馬鹿」がつくほどの正直者――藤六と、ならず者の掛け合いが面白くも、ジンとくる民話劇でした。
もう一つは、菊池寛作の「父帰る」。
家のお金を持ち出し、3人の子どもと妻を20年放っておいた男が落ちぶれて帰ってくるストーリーです。
米倉斉加年さん演じる「父」――惨めでかっこ悪く、そして哀愁ただよう人物と、4人4様の反応と対立に、家族とは――と、問いかける作品です。
演劇を終えての米倉さんのあいさつが心にしみます。
「北海道には、東京で失われたものがあります。自然もすばらしいし人のあたたかさも違う。そして観に来てくれたみなさんのおかげで、私たちは今日一日演じることができました。本当にありがとうございました」
米倉さんは2000年に劇団民芸を退団し、人生のラスト・ステージを仲間と共に全国の旅回りをして生きたいと、今年も北海道にやってきたのでした。
2年ぶりの観劇でしたが、映画にはないふれあいと心に訴える力を今更ながら感じています。
木々の紅葉に、闇を照らす月に…自然の美しさに心を奪われる秋です。
(10月23日記)
「清田区新聞」13年10月27日付より